光沢/
カンチェルスキス
手のひらで潰した花弁の名を
知らない
消えた指紋の一部と
渦を巻き
波打つ
消えた以外の指紋
彼方の太陽が
今日も近づいてきた
フェンスのそばに落ちた
鳥の死骸の開いたままの
眼の方向で交わされる
殺人言語
窓にすがる水滴に分け入って
光や輝きをたしかめる
それはない
美しくて 薄ら ない
稼動するエスカレータに
飲み込まれ
最後に残った指先の
消えた指紋
消えた指紋
光沢
戻る
編
削
Point
(3)