はしりがきの春/田中修子
 

舞いちらひらひらりや。

残るのにふれる
肌に残る線香花火だな
いつか消えさるが
キラキラキラキラはぜていくろ
ツッ。

ひとはおまつりさわぎだな
からっぽのまちの手触りは花びらや
残香は梅のこう、こう、こう、やしな
どこまでもとおくまですみわたるそら。


「春神」

とめどなく春が溢れでるから
狂って振りみだし
走り出しそ

「あねさま」

おてては冷えて
引き止めて
ふしぎそうに見られるからさ
でも、だってすぐそこに
梅がね、桜がね、きてるんだ
土に砕かれた貝殻が鳴るからわらう

つくしのたまごとじ、よ、って

垂れる黒髪を
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