桜の架空/RT
 
あのひとが好きで
好きで
もう死んでしまいたい

こんな感情は
刹那的で
明日の朝、目が覚めたらきっと
忘れている

桜に似ている

降る花びらの中を今日、歩いた
小さく舞う白い物の間を儚くすり抜けて
こんな風景知らなかった
いいえ、知っていたけれど忘れていた
生まれて初めての感傷を
繰り返している

あのひとに逢いたい
切ない情景を見上げる先にいる
愛しい人は架空

降る花は雪に似ていた
桜の記憶も解けてしまう
刹那の架空に胸を焦がす

桜には桜の
雪には雪の
巡り消える嘘つきな未練


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