恋昇り 2 「こんなことってある?」/トビラ
腕を組んで、押し黙ったまま何も言わない。
軽口一つ口にしない。
連座はさっきから、本部と何かやり取りしている。
空気が重い。
それなのに、そんな状況でも、山藍さんに嫉妬している自分が嫌になる。
「あー、わけがわかんねえ」
連座が座席に戻ってくる。
座席に着くと、やっぱり俯いて黙る。
誰も何も言わない。
空気を変えなきゃ。
「連座君、本部はどうだったの?」
私は思い切って聞いてみる。
「どうも何も、『任務を遂行するまで帰りは用意しない』の一点張り。どうしろっていうんだよ」
「そ、そんなにヤバい状況?」
「一ノ世の見立ては?」
一ノ世君は一息吐いて言う。
「僕の
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