恋昇り/トビラ
 
よく使うだけで認めない周りに対して、何もしてあげられない自分に対して。
一ノ世君は、けっこう浮いていて、自分から話しかけるタイプでもないし、何かいつも一人でいる。
だからといって、暗いかというと、そうでもなくて、いつもちょっと幸せそうにぼおっとしている。
そんなだけど、私が話しかけるとにこにこして、私の愚にもつかないグチをいつまでも聞いてくれる。
何かにかこつけて、それとなくお菓子をあげると、ありがとうって、にぱって笑ってお菓子を頬張る。
なんなんだろ?
この人は。


「雨降り街で、イレギュラーが発生した。一ノ世、榛名、山藍(やまあい)、連座(れんざ)、{ルビ菜良雲
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