だったらrip it up/ホロウ・シカエルボク
 
間彷徨ったのにありつけなかった
「そんなの時代遅れですよ」って
ある店のバーテンは言った
あんたは味覚までチャートに委ねてるんだなって
俺は言い返したけれど
やつには上手く伝わらなかった
いいよ、ありがとう、と言って
街路に向けてドアを潜るしかなかった
上顎にへばりつかない
スマートなガムは気に入らない
俺は諦めてコンビニでコーヒーを買った
安ホテルの書きもの机みたいな細いテーブルを使って
あんなところに居座るやつらが
ハッピーだなんて到底思えない
雨のにおいが残る街路は
まるで何かを恥じているみたいに見える
横断歩道を渡るとき
信号無視のオートバイと目が合った
[次のページ]
戻る   Point(2)