あの星、/大西 チハル
 


酔っ払うといつも

私をベランダに連れ出し
あの星を見ろ
と言う

あの星たちを見ろ
冬の方が空気がすんでいるから
星が大きくキレイに見えるんだ

そんなこと
今の私(ベランダに連れ出された)でなければ
本当はどうでもいいことで

酔っ払った君でなければ
聞くことのない言葉

では
あの星を下さい
あの星を

あたしにひとつ

忘れられないことを
いつもでも胸に引きずって
泣いてばかり

あたし
泣いてばかり

かじかんだつま先を
暖めてくれるものはなんですか
君ですか
あの星ですか


あの星を下さい
あたしにひとつ

あたしにひとつ






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