流刑者の楽園/ただのみきや
 
問い質すことはしない
その背にただ頷くだけ
否定も肯定もしないことで
ぬかるみを隠し
死へ そっと後押しする



数十億の盲人が夜を編む
匂いを持つ風は翼を解くと
女のつま先をして水面を渡る

赤々と 手足を薪にして
己の頭蓋で夢を煮る男

女は男の耳に口をつけ
秘密を吸った
甘くて苦い笑いが白く垂れる



ふたりの少女が耳元で
シロツメクサを編んでいる

わたしの葬儀の花輪
草原の波間から摘んだ
雲の落とし子たち

キャンディーを舌で転がすように
花の数を数えて



整列し 
勇んで空を切る
白い風車たちの向こう
海に
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