金のすもも/愛心
夜明けと共に体が裂けて、死んでしまった若者を生き返らせる方法を教えて欲しい。
それを聞いた女神は銀の盃を取り出すと、子ども達から一滴ずつ涙を注がせた。
この盃に若者が含んでいる真珠を溶かして飲ませなさい。
娘は礼を言うと、休む間もなく若者のそばへ舞い戻り、若者の口に指を入れて真珠を取り出し盃に溶かし入れた。
若者の喉の奥へ、盃の中身を注ぎ込むと若者の離ればなれになっていた体がひとりでにくっつき合い、若者の目がぱっちりと開いた。
娘は喜び、若者を抱き締めた。
その拍子に皮袋の口が弛み中身が飛び出した。
若者は驚いた。
熊の舌だったものは宝石の飾られた金のナイフに、熊の目玉だったものは、大粒のダイヤに変わっていた。
若者は宝物を手に入れ、娘と結婚した。
後に、金のすももを含めた地主の物は、全て若者の物になり幸せに暮らした。
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