金のすもも/愛心
を裂かれながらも、倒れることはなく、何度も引き金を引いた。
熊の腹が真っ赤に染まる頃、若者はナイフで熊の手を剥ぎ取り、そのまま唸る口に押し込んだ。
熊は背中から倒れ、起きあがらなかった。
若者は倒した証拠に熊の舌を切り落とし、両目をくり貫くと皮袋に入れて紐で縛った。
そして、愛しい娘の傍に行くために、娘の家の扉を叩いた。
愛しい娘は夜明けと共に扉を開けたが、途端、若者の体が裂かれ、そのまま死んでしまった。
真珠を吐き出すことを忘れてしまったのだ。
娘は若者の亡骸にすがり付き涙を流した。
すると、泣き声に誘われるようにあの老狐が現れた。
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