メモ/はるな
花屋にくる人びとの顔ぶれはあんまりかわらない。3日おきに来たり、毎週同じ曜日にきたり、半月に一度、おなじ花を買っていったりする人びとだ。いつも部屋のどこかに花のある暮らしをしてる人びと。そして、お誕生日や記念日、お悔やみなんかの特別な花を買いにくるひとがいる。おまかせします、という言葉と、なぜかすこし決まり悪そうに花を抱えて帰ってゆくすがた。それから、イベントごと。春秋のお彼岸と夏のお盆、それから日本じゅうの花屋がいちばんいそがしい母の日。
夏を迎える店頭に涼しくゆれる花菖蒲、梅花空木。様々な種類のひまわり、咲けば散るビバーナム、芍薬、顔色を変えて可憐な矢車草。
花くらい買えばいいのよ、と
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