ステラ/ホロウ・シカエルボク
 

夜が壊れていくから
窓に包帯を巻いた
朝は舌なめずりして
地平線の先で出番を窺っていた

幼子の泣声、いや
盛りのついた猫だろうか
街路はあらゆる音を
まっすぐに伝えてはくれない
音源に接続していないヘッドホンをつけて
余計な反響を殺してみた

現象は
光の中だけのことだと
真夜中になればわかる
闇の中で起こることは
出来事というより心の中だけのこと

身動きの取れない
退屈は針だ
ところ構わず一斉に貫いて
世界が照らされるまで楽にしてはくれない

夜よ、俺は素直に
お前を弔うべきだろうか
お前が壊れていくとき
俺は壊死した自分を抱いているよ
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