みかんゼリーとブルーベリーソース/
牧村 空太
ずつ流れ出し
まわりに垂らしたブルーベリーソースが
つぶの隙間に染み込んでいく
あぁ
もしあの夕暮れ時を
完全に固める事ができたなら
時間をさかのぼり
過去へ行くことが
出来るんじゃないだろうか
祖父を失ったあの夏に
戻ることが出来るのではないだろうか
流れ出すゼリーを両手ですくうように
喉が枯れるような思いを抱きながら
飛行機の窓の外を眺める私の時間は
夕暮れ時の流れ出す速さと同じだった
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