いつのまにか空っぽの血管/ホロウ・シカエルボク
 

翻ろうと草を這おうと
どうせ生い先短い身

ねえ君、うたおう
出来る限りの惨酷な歌を
世界はどうせ切傷だらけ
血塗れのメイン道路で
真っ赤なコンバース履いて


ディストーションだなんて
あらためて言わなくてもいいだろ
なにもかも転がせばいい
傷口がすべてを教えてくれるさ
おまえの身が真っ直ぐに貫かれたとき
天を向いたおまえの目には
背骨の頂点のような
真っ白い月が見えることだろう
肉体は蛆虫を育て
おまえは真っ黒な霧になる
そら、ディストーションだ
ヒナギクのチェインソーも真っ青だ

死体処理場で
おまえの骨を探そう
なに、心配はいらないよ
きっとそれは
おれ好みのかたちをしているから

部屋に帰ったら
遅い夕食を取ろうね
バラエティー番組に唾を吐きながら
くだらない小言を鼻で笑って


そしたら朝まで
ぐっすりと眠れるさ
きっとさ





きっとさ

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