汚れた怒り/jin
三日目のマスクから
漏れ出た鋭いため息が
乗客の肌を斬りつけている
新型コロナウイルスが
蔓延する都市で
朝の電車に揺られながら
何重にも押し黙る
心の声まで封鎖するように
……自分は感染者じゃないの?
キャンディ・セッズ
「唇で不織布を突き上げてくれ、まだ包み紙の中にいるみたいだから」
不安や恐怖や諦めやらを
混ぜ合わせて描きなぐりつけた、
まだら模様の絵画が
暗く沈んだ車窓に張り付いている
誰も見ることはできない
ガラスを指でなぞり思索に耽る
("雨月"は雲の向こう側。昔の人は見えないものに名前を付けた。想いを膨らませて
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