気が付いたらボロ雑巾のようにベッドに転がされていた/山人
ぐためにはこのような粗食で十分なのであり、食糧に事欠く時代であればこの病院食ですら大御馳走であったはずだ。しかし食欲はあった。菜と凍み豆腐の煮ものだとか油をほぼ使っていない料理が中心だった。それでも人は腹が減ればこんなものでも美味いのだ。
十五時に冠動脈の造影剤によるCT検査が始まった。明日行われる手術が計画通りにできるかどうかという検査である。三十年ほど前に別の事情で造影剤での撮影を試みた際に過剰反応してしまい、検査を中断してしまった経緯があった。もちろんその事をあらかじめ報告済ではあったが当日はそのまま検査が実施されようとしていた。CT検査台で仰向けになり、検査の練習みたいなことを数回やら
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