求めるものは/岡部淳太郎
 
大勢の見知らぬ人々の中にいた
右も左も定かではない
私と同期することのない人々の中で
求めるものを待ちつづけていた

この見知らぬ運命たちの巣窟に
誰一人として私の運命に関わってこない場所で
求めるものが見つかるはずと信じて
人々の息が通り過ぎるのを聞きながら待ちつづけた

私は何も知らない異人でしかなかった
どうして人々が彼等以外の顔をしてここにいるのか
どうしてそれほどに熱い心を持って集まっているのか
それすらもわからずに一人で立ちつくしていた

やがて求めるものが可憐な雨滴のような
細く折れやすいものが現われた
だがそれは一瞬垣間見えただけで
見知らぬ人々
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