この世界に生まれた日に/こたきひろし
 
この世界に生まれた日
産声をあげた時に
空模様が晴れだったか雨だったかなんて
知らない

その時
何処かの誰かが私のへその緒を切ってくれた
その何処かの誰かの今の所在なんて知りようがない

それを知る必要なんて何もない

私が産声をあげた日
その日の世界の情勢なんて
私の生誕の事実におそらく何の影響力も持っていないだろう

母親は陣痛から解放されただろうな
父親は何してたかは皆目わからない

一組の男女
私は二人の間の五人目の子供

その後二人は子供を作らなかった

不謹慎な物言いをするなら
私は打ち止めだった

果たして私は
一人の男と一人の女の間の
優勢遺伝の結集か
劣性遺伝の結集か

それとも優勢と劣性のほどよいミックスジュースか

ほどよくないミックスか

打ち止めは
打ち止めなりに考察してしまう













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