矢のように僕をつらぬけ、縄のように僕を結べ/竜門勇気
 

子どもたちが叫んで、黙る
いつだって分かれ道はあるもんさ
冷たい水と温もりが
怒り、静まり、混ざっていく
諦めて、哀れんでいる
まだわからない
あいつらには

自己の迷宮
なんでもいいか
僕は見ていた
真っ黒に焦げ付いた鍋の底で
青々とした
カラスノエンドウ
燃えて、赤くなって、黒くなっていく
黒くなって赤色は追いかけていく
その後に白い灰が残る
白い灰が二つキッチンで煙る

グツグツとのどかに風呂が沸いてる音がする
白く泡立つ垢の踊る様子が
救いのように思えた
その想像が神様が与えてくれた救いのように思えた
白い灰が二つこの街で
どこかから自由になる


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