窓の明かり/服部 剛
新型コロナに侵された日常を
静かに、掘り下げよう
自粛する日々から
できることを、探りだそう
人類は、私は
?初心?を久しく忘れていた
ひとつ屋根の下
三人と猫一匹で暮らす、この世の夢に
素朴で温かな愛はある
(隣の部屋から、言葉を知らない八才の
吾子(あこ)は腹を空かせて、ああうう、と言う)
今日も台所に立ち、夕餉をつくる妻が
愛しい命の重さに疲れる前に
ヒーローのふりをして、隣りの部屋に姿を現す
私はひと匙の飯を、息子の口に運ぶ
願わくば、令和二年の長い夜に
世の家々の窓の明かりが
消えぬように
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