壊疽した旅行者 五/
ただのみきや
ってしまう
仮にわたしが祈ったとしても
(彼らが守られて感染しませんように )
そうやって傾いだ小舟を櫂で切るように
嫌なものでも見たかのように
静謐の水面
死体の花咲く湖へと逃げただけのこと
余白
余白の広い詩がある
わたしは朦朧(もうろう)と余白を眺めている
どこまでも澄んでいながら
何も見えない 絶対無の怖さ
詩文は詩の足跡
ここで途切れ
何処へ去ったのか
崖っぷちから眺めている
《2020年4月19日》
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