偏西風/アラガイs
 

強い潮風にあたりながら薄味な浜辺を眺めていた。

縦から水平線へと、スマフォの向きを変化させてはシャッターを何枚か切った。
岩をくり貫いたトンネルを抜ければ岩場がある
使われない海藻が密集して漂い、まだ潮の香りはしなかった。

小高い坂道の上から赤いラジコンが滑り下りてきてわたしの足もとでひっくり返る
 
 ぼうや、これはポルシェかね?
いえ、フェラーリじゃないかしら?

確かに、ボンネットの先端に小さな荒馬のシールが貼り付けられていた。

男の子は躊躇もなく車を操作しながら危うい手付きで右往左往と繰り返していた。

若い母親は促すように振り返っては立ち止まる

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