[:waltz/プテラノドン
た。
世界を
それから、君は風呂上がりに上機嫌で
ラフマニノフを弾いてくれた。
僕はベランダで裸のまんまそれを聞いていた。
君が鍵盤を叩くたびに、
藍色の空が古典的な闇に近づくようだった。
あの夜は特別だった、と別れる前に君は言った。
まったくもってその通り。十年経ったが、
まだまだ僕らは死んじゃいない。
かつて二宮に住んでいた君は、今は
テネシー州で知らない男と一緒に家庭を築いている。
一方で僕は、
君の誕生日を、銀行のカードやパソコンやら
あらゆる暗証番号にかえて遊んでいる。だから楽しいよ
人生は
一年前、病院に担ぎ込まれた時に君は
夢の中で僕を呼んだと言うのを人づてに聞いた。
その頃僕は、
授業中に生徒の前で数年ぶりに夢の中で君と会った話をしていた。
愛とユーモア。見守ることと差し伸べること
信じているのがなんであれ、
そんな風に生きている限り
縁は続く
僕らはあの夜
口笛に合わせてワルツを踊った。
それで十分。
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