白 黒 青 無/木立 悟
 




夜に光る葉
原の外
街の幽霊より濃い影が
幾つかの径を消してゆく


考えより速く生まれる火
緑がかった薄い霧
さまざまな光が壁を横切り
影を水へと落としつづける


そこにはいない魚や鳥
地にあいた穴 水たまり
金の格子の前の木々
空を屋上にくくりつける


夜がくりかえし
原と街の境を洗い
霧は破け こぼれ 散らばり
文字を描きながら海へ向かう


木々が川底から立ち上がり
川の上空に川を作る
水はひとりの生きものの背となり
川のむこうの塔を見つめる


呼吸 空 呼吸 空
何故それほど覚めているのか
水しか見えな
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