平衡/
カンチェルスキス
するかのように
半分残した
チョコレートシェイクのストローは
ぴんと
まっすぐ立っていた。
切り抜けたはずが
何も切り抜けてはいなかった。
歩きだし
本屋の前を通り過ぎる頃には
おれの胸は
窓際の席に座ってたときと同じように
十分過ぎるほど重さがなくなり
透明度を増してゆく
沈殿する思いから脱するための
あるかないかのタイミングを
一生逃してしまったかもしれないという
悪魔的な考えに引き裂かれた。
戻る
編
削
Point
(12)