平衡/カンチェルスキス
 
するかのように
 半分残した
 チョコレートシェイクのストローは
 ぴんと
 まっすぐ立っていた。




 切り抜けたはずが
 何も切り抜けてはいなかった。
 歩きだし
 本屋の前を通り過ぎる頃には
 おれの胸は
 窓際の席に座ってたときと同じように
 十分過ぎるほど重さがなくなり
 透明度を増してゆく
 沈殿する思いから脱するための
 あるかないかのタイミングを
 一生逃してしまったかもしれないという
 悪魔的な考えに引き裂かれた。








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