喜劇王への手紙 ―追悼・志村けん―/服部 剛
名優・志村けんが
舞台の裏へいってしまった
人生はコントという名の
夢であるように
今もこの世にいると錯覚しそうな
あなたのコントを観る夜
僕は思わず、くすっと笑い
手にしたグラスの氷もからりと、鳴った
ある番組のテレビの中には
娘の彼氏の外国人に戸惑いながら
穏やかに酒を注ぐ
父親役のあなた
ある番組では
息子のように可愛がった猿のパン君が
東京へ帰る後ろ姿を追いかけて
名残り惜しくも抱っこするあなた
人も猿も分け隔てなく
同じ目線で接するあなたは
ゆっくり育つダウン症児の息子に悩む僕に
大事なヒントを残してくれました
テレビを消
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