吸血鬼は棺の中で/ホロウ・シカエルボク
満たされるまでの、冷えた体温だけが安らぎ、脳味噌の内側で、真っ白い明滅が繰り返される、分水嶺の子守歌、命が氷を飲み込んでいる、生まれたばかりで、凍えていた時間に焦がれている、何を見た、人工呼吸器の中で喘ぎながら、概念の存在しない脳裏で、接続されたヴィジョン、何を見たんだ、目覚める前の記憶が、開いた目を縛り付ける、それはおそらく、魂に植えつけられた呪縛だ、描かれる前の形状を、地図を睨んで探している、でもどうすれば見つけられる?それは感覚すら定まっていないころの拾得物だ、それは認識されるべくもない、命だけが記憶している、魂だけが記憶している、どうすればそれを取り出せる、裂傷は正解じゃない、それはそうさ
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