電球のひと ――ダウン症児の息子に――/服部 剛
 
かれはすごい 
てんかんの発作で
鼻の骨が見えそうな傷を負っても 
支援学校の上級生に引っかかれ
ほおに血を流しても

夜、パパが家に帰り 
ドアを開くやいなや
百万ボルトにまさるほほ笑みで
?ぱっ?と疲れたこころを、照らし出す  

今まで私は出逢ったろうか
息子のような者に
あの芸当ができようか
父親である、私に

ひとより染色体が一本多く 
八才にして未だ言語を知らない、かれを
私はそっと敬(うやま)う  




 
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