満月とのっぺらぼう/
ひだかたけし
春の夜に
煌々と浮かぶ満月は
闇に艶めく大地のあちこち
銀の涙を溢しながら
陶然として傾いていく
わたしは寝床でゆっくりと
その推移を辿りながら
迫り来る世界の無表情に
今夜もやっぱり耐えている
戻る
編
削
Point
(2)