壊疽した旅行者 三/ただのみきや
朝は容赦しない
朝は砕け散ったガラス
遺言すら打ち明ける暇(いとま)もなく
連行される
整列した諦念の倒れ伏した影が
みな時を等しく示す頃
目を閉じて 夜を
再び紐解(ひもと)くあなた
乱反射を収め握りしめた掌から
もみ消して尚も紅くこぼれる暁は
断頭台に並んだ
幼子たちの行列か
ひとりひとり裸になってシャワーを浴びる
閉め切った風のない
頭の中徐々に輪郭を欠き
腐食して沈んで往く小舟
弔いの 花を模った角砂糖
うっすらと闇に透ける
在るものの影か
無いものの幻か
取り戻そうともう一度
仰け反るように生まれ落ちた
ガラスの雨の降る朝
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