わたしについてのわたし/かんな
むかしの歌をきくたび
過ちは目の前でかげをつくる
おもかげを残した
ふるさとのあの道で立ちすくむ
かなしみ、なげき、いきどおる
わたしはほほえんでいたのか
あのとき、あの場所で
やまほどの
伝えたいことばを燃え尽くしていった
あの日の夕焼けを
冷え切った夜だけが知っていた
どれほどとざされても
ふかい眠りはいつしか
鮮やかすぎる朝のひかりに溶けてゆくのだろう
わたしはわたしに問いつづける
むかしも、今も、これからも
ひとりぼっちの意味を
愛することのむずかしさを
それゆえに
壊してしまうあやうさを
悩み苦しみつづけたことを
傷つけすぎたあなたやわたしを
欲したものや失ったものを
そして、しあわせを
あの海の底で
絡まりつづけた記憶の糸の
さいごにほどけてゆくひどくしなやかなこころを
わたしについてのわたしを
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