芝生の妖精/丘白月
 
声にならない声と
涙にならない震えを
背中から大丈夫だよと言う

喧嘩の言葉と笑い声が
行ったり来たりしながら
やがて去っていく

公園の芝生は
訪れる人々の声を
すべてうけとめる

恋のささやきも
愛の終わりも
月夜に聞いてきた

妖精は悲しい言葉の
時間を元に戻し
見つめ合う二人の
時間を止めてあげる


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