ある悲しみについて/うみ
 
神さま薄汚れた魂の
居場所はどこにあるの
嘘をつき尽くしたときの
あなたはどこか満足げに

涙が流れても
その味がにがければ
天使はやってこない
あなたは「不味い」から
打ち捨てられたコーラの空き缶
ぺたんこに潰れて
何十年もそこにあるような

歌いだすために口を開けど
歌えるような心がないから
酸欠の魚みたいに
ぱくぱくして餌を待つわたし
からだをかき乱すほどの
かなしみや慟哭を
ひろいあつめてくるには
あまりに静かな街にいる
わたしの枕はやすらかに
誰もいない場所の夢を編む

さよならを繰り返しても
波のように打ち寄せてくる
世界との接吻は終わり
わたしの喉は枯れる
ゆれうごく幾千の青い魂が
美しくほの光る
深い暗闇の底

わたしの歌を奪わないで
どうか
どうか
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