うまか棒を食べながら/ベンジャミン
冷蔵庫の中で
口をあけた箱に手をのばす
寒いときに冷たいものを食べるのは
ちょっと悲しいときだったりする
僕は
あまりに冷たいので
うまうま
という口のかたちになってしまうから
うまか棒なのかもしれない
なんて思いながら
アイスをくるむチョコレートを
はがしながら食べる
歯に沁みて痛いのは冷たさであって
けして最近の出来事のせいではない
もう何度となく繰り返している
なんとなく儀式のような
うまか棒を食べる習慣は
自傷行為のように思えないこともない
だからって
口の中に広がる甘い匂いは
けして自分への優しさではないのだけれど
僕は
うまうまという口のかたちを
すこし上に向けながら
頭に響く冷たさに
何かを忘れようとしている
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