in future/由比良 倖
 


「世界を壊してごめんなさい」

その世界では皆が募金箱を下げて歩いているのだった。誰もが歌を歌っていて、それらが重なり合って、靄を産み出している、誰が何を呻いているのか聞き取れない、僕は持っているお金を空に向かって放つ、お金が誰の上にも公平に降り注ぐように。だけれど音楽はどこにも見付からない。僕は値札を降らせる。永遠の夜に、偽物の陽が差して、大きな虹が架かるように。

寂しい。Love, Love, Love. 浮遊。どこにもいない私が、全ての場所に存在するあなたに出会うとき、私はもう、お墓参り、死んだ人たちのために歌を歌うくらいしか、することがないのではないかと思います。新しい一
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