今日、明日/
墨晶
暗闇で自転する緑の林檎
湯気立つ紅茶茶碗
見ようとする度すがたを変えるものたち
事物は描かれることによって見失う
彼誰刻前
デスクライトの灯りの下(もと)
オレンジの果皮の残り馨に似た
読まれることのないブルーブラックのことばを万年筆は綴る
交わし合った無名の象徴よ
そこになかったものたちは
当然懐かしい
そうだ あきらかに我々は存在しなかった
そして これからもだ
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