今日、明日/墨晶
 
          un pastiche, encore


きみが書く手紙の文字は読もうとすると揮発してしまう

ありきたりの半島とありふれた海峡

街を寸断する運河や暗渠 について

おそらく伝えたいのだろうが しかし

我々は会ったことのないふたりなのだ


我々の必然故に共有されたものたち

不可視の地形図を

聞く以前に知る幻聴を

オリーヴの枝を揺らす金色の風を

誰も(無論我々さえも)いない庭園を

手放すことによって(やっと)得る薄明(cr?puscule)


イーゼルのうえの姿見(かがみ)

古い木馬

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