鳥の巣/丘白月
 
枝に置かれた
ぬいぐるみのように
ムクドリが並んで
眠っている

頬を寄せあって
頭には雪が綿毛のように
積もったままで
目を閉じている

ムクドリたちの巣は
雪を生んだあの雲
でも誰も気づかない
誰も帰ろうと言わない

神様が空を飛んでいいよと
雲に卵を創り
雲から落ちてきた
小鳥たち

もうあれから
どんどん空は高くなって
辿り着けないところへ
行ってしまった

雲が巣だと知る鳥はもういない
でも私は知ってる
高い空で恋しく鳴いてる鳥を

月夜は雲が近いよと
ふくろうが啼く
見上げる眠そうな鳥は

満月に優しく光る雲を
いつか帰るところだと
今はそう思うだけ


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