春のたより/
丘白月
ミツバチが
回覧板を抱いて
モンシロチョウに渡す
見出しは
「春の便りが届いたよ」
森の四季を綴った回覧板
シロツメクサの妖精から
デージーの妖精に手渡しされ
二人で仲良く読んでいる
小さな新芽が春をつかまえる
やがて大きな桜となって
冬を思い出に変えていく
フロックスの妖精が
森の奥へ飛んで行く
春の便りを持って
雪解け水が日差しを浴びて
踊るようにあちこちで
光って流れている
冬の命を吸って
春の妖精が新しい呼吸を
回覧板に乗せて飛ぶ
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