転がる/
為平 澪
していく
夕陽は黙ってうつむく私見つめて沈む
誰にも気づかれず死んでいく者の数を
あの赤い空は知っているのだろうか
*
高架下の交差点で
誰かに放り棄てられたビール缶が
どこまでも転がっていく
ガラガラと音を立て うろつきながら
どうしようもないことに
つぶされないように
横切っていく
私も素知らぬ顔をして
横断歩道を渡っていく
コンビニに入ると
店員はビール缶を棚に出しては
いくらでも並べてみせた
その手の裏側の方から
サイレンの音が鳴り響く
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