感謝しない心/こたきひろし
 
十三歳
中学生でした

担任の男性教師は怖い先生でした
柔道部の顧問をしていて有段者でした

先生の口癖は
人間は感情の生き物だ
でした

その言葉が出ると
クラスの中の誰かが頬を平手で打たれました

さすがにそれは男子生徒に限られてましたが
ビンタする前に先生は必ず言いました
直立不動になれ
歯を食いしばれ

可能なら両手で耳を塞げ
とも

反抗心剥き出しの生徒は
先生を睨みつけました
さすがに暴力による抵抗はしませんでした

先生は猛者で
柔道の有段者でしたから

叩かれると生徒の体はよろめきました
反抗心剥き出しの生徒は
それでも
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