氾濫と反乱/こたきひろし
 
り様だったようでした

地方紙の三面の片隅に載ったみたいですが
私は読んでも見てもいません

私の遥か遠くの記憶の中に
黒い染みになって残っていますけど
可能なら拭き取って消してしまいたいです

消してしまいたいのですが
それが果たして現実だったか非現実だったのかの区別が
つかなくなってしまっていて

もしかしたら私は大きな思い違いをしているのかもわかりません
あの日
あの時
激流に落ちて飲み込まれたのは他の子供ではなく
私自身で
いまだにその現実を受け入れられずに
霊魂のままにさ迷っている存在なのかもしれないからです

それは夢と現の間を襤褸みたいに


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