生きてるノイズが屠るものは/ホロウ・シカエルボク
ことを与えてくれる、物事を簡単に片づけることは見栄えはいいが決しておすすめはしない、そういうのはクセになる、疑問符を前にすると自然にそれを片付けようとするようになってしまう、それが本当はどんなものなのか、なぜそいつが自分の手を止めさせたのか、そういうことを微塵も感じることもなく…さっき選択肢の話をしたよね?同じことだ、疑問符のほうへ足を突っ込んだらそこからにはいくつもの枝分かれがあるのを目にする、形状も路面も様々な道だ、そしてその道は往々にして、ほとんどすべてを歩いてみないと納得がいかなくなる、それは、こんなものをここまで読んでいるあんたにならきっと理解出来るはずだよ、思考のすべてはそこから始まる、そんな紆余曲折の繰り返しが、自分自身の真っ直ぐな道を作っていく、音は鳴り続ける、あるお坊さんがこんなこと言っていた、人間はどこか一ヶ所ぐらい壊れているぐらいがちょうどいいって―俺はその音に名前を付けた、生きてるノイズという名前だ、やつは満足したのか、ひととき甲高く鳴って、それから脳味噌の奥深くへと消えていった。
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