生きてるノイズが屠るものは/ホロウ・シカエルボク
ラジオペンチで脳味噌をむしるような音が右耳の奥の方で聞こえている、少し湾曲していて、角度によってはまるで聞こえない耳の中で…たったひとつの音譜のスタッカートで塗り潰した楽譜の初見演奏のような旋律だ、いや、そもそもそれは、旋律と言えるのか?規律のない時計のように、生真面目に過ぎる雨垂れのように、右耳の奥でそいつは鳴り続ける―1、これは現実に鳴っている音だろうか?2、だとしたらそれはきちんとした前例のある現象だろうか?3、現実ではないとしたらどこで鳴っている音なのだろうか?4、どちらにせよ原因として考えられるのはなんだろうか?…側に捨てられていたレシートの裏にそんなふうに書き出してみた、ボールペン
[次のページ]
戻る 編 削 Point(0)