白へ 白へ/木立 悟
 




風と水たまり
鉛筆 かくれんぼ
雨と雪の服
画用紙の端から端


暗い明るさ
午後の未来
胸の苦しさ
十月十日


横ならびの虹と径
賢くない鴉が啄ばむもの
静かに そして
近づくもの



一度の雷鳴
みな恐れて
走る 走る
花を踏んで
水を踏んで



雨の柱
こすれあう音
径は響く
海へ 岩へ


昼にひらいた手に落ちるもの
乱される前の水底の文字
ずっと静かに
残るはずもなく


径は白いが白くなく
白くない白いを繰りかえし
血と埃の季節を越え
常在の冬を撒いてゆく























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