木瓜の妖精/丘白月
細い枝に寒いねと言いながら
まるくなって頬をつけ合い
仲良く並んで咲いている
女の子がおはようと言って見上げる
ずいぶん大きくなったね
妖精が優しく声をかける
ちいさな頃は傘を差せば
見えない木瓜の花
今は目が合うくらいに
黄昏の夕日の中
女の子が通り過ぎていく
いつもはおやすみなさいと言うのに
妖精が心配してついていく
心細い光が見えて
女の子の魂に問いかける
あなたの明日は
誰が作っているか知っているのかしら
魂は答える
神様かな
宇宙なのかな
時間の流れかな
ううん違うのよ
あなたの明日はあなたが
一生懸命作っているの
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