行方知れずの抒情 五/ただのみきや
 
デマ

風に煽られるロウソク
それでも消されることもなく
怯えて 震える炎
ささやかな灯と温もりを
与える術も忘れたかのように




御免だね

出来事は恐れない
恐れるのは出来事に湧き立つ人の心
悲しいみや怒りを
他者にぶつけないといられない人の

影響されたくない
生真面目にいつまでも怒っていたりする
人の心は波のように引いているのに
誰かの感情の代理人や弁護人はもう御免だ

遠慮がちな他人同士がいい
ささやかな思いやりが時折こぼれても
勝手にやっているだけ
根に持たない恩に着ない

善人らしい振舞なんてくそっくらえ
一目
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