Birthday Cake/ツチヤタカユキ
 
取り出した。

「はい、これ」と、ルカはそれをシオンに差し出す。
「何だ?」
「今日、誕生日でしょ?」
その日は、シオンの24歳の誕生日だった。
シオンは、今日が誕生日だって事を、すっかり忘れていた。
その時初めて、今日が自分の誕生日だった事を思い出した。
「開けてみて」
シオンが開けた、箱の中から出て来たのは、白いホールケーキで、その上には、クリームで飾り付けがされていて、チョコレートのプレートには、『シオン誕生日おめでとう』と書いてある。

シオンは、それを見た瞬間、小学生だった頃の自分に戻る。
バースデーケーキが、欲しくて欲しくて、たまらなかった。
だけど、それを欲しいと思う事さえ、悪い事だと思っていた。

ルカは、少年に戻ったような、あどけないシオンの表情を見て、優しく微笑んだ。

それは、シオンが生まれて初めて貰った、バースデーケーキだった。

(完)
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