Birthday Cake/ツチヤタカユキ
オンにとって、世界と繋がるためのカートリッジであり、絵の中に、狂気を封じ込める作業でもあった。
シオンの絵を見て、看護婦は、息を詰まらせた。
「これが、本当にこの人が描いた絵なの?」
看護婦は、目の前の状況が信じられなかった。
シオンの絵は、すぐに病院内の噂になった。
その絵は、絵の中で、人に命を授けるような絵で、見た者の心を必ず掴んで、シェイクさせた。
シオンは、毎日毎日、大量の絵を描くため、ついには、その置き場所に困り、描いた絵をゴミ箱に捨てるようになった。
ある日、シオンが、病室のゴミ箱に突っ込んだ一枚のキャンパスを、看護婦がこっそり、ルカの元に送った。
それは血を流
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