Birthday Cake/ツチヤタカユキ
のように、また静かな夜がやってくる。
後ろでレンが、怯えているのが、シオンにも伝わって来る。
「兄ちゃん、ごめんよ・・」
そう謝る、レンの声は震えていた。
とっとと帰って眠りてえ、と思いながら、
シオンは、こう返答した。
「黙ってろ」
それが、シオンとレンが交わした、最後の会話だった。
2. Birthday Cakeless
稲村家(いなむらけ)の子ども達は、 誕生日にバースデーケーキが、一度も出た事が無い家で育った。
3人は、それが普通だと思っていた。
シオンの記憶が始まったのは、3歳の時からだ。
まだ赤子だったルカが、ママに抱かれて泣いていた。
[次のページ]
戻る 編 削 Point(2)